若いころからいろいろな包丁を使ってきた。でも今は昔ながらの菜切り包丁が使いやすい。なにしろよく切れる。切れが悪くなってきたら、研げばいい。
若いころは包丁を研ぐという余裕がなく、切れが悪くなったら、次々と新しい包丁を購入していた。自分で上手にとげたらいいのになあ、と思いながらも習う機会も時間もなく、罪悪感に苛まれながら・・。
もう何年か前になるが、新聞広告を見て「これだ!」と一念発起し、包丁研ぎの一日講習に出かけた。若い人たちばかりかと思ったら、意外にもかなり年配のお母さん達ばかり・・・。なんだ、包丁研げないのは私の年代の女性だけじゃないんだ、となんだかほっとしたのを覚えている。
先生の研ぎを見ながら、砥石を順番に換えひたすら研ぐ。つるつるしたトマトの皮がするっと切れた時の驚きと感激!
それからずっと菜切り包丁。研いでは使い、研いでは使い・・・。ところが刃はまだまだ切れてますます使いやすくなってきたのに、木製の柄に付ける部分が折れてしまった。こんな時、よいどれ小籐次がいてくれたら、柄も直してくれるだろうに、素人はなすすべもなく、使い慣れた包丁は、それでも捨てられず台所の片隅のオブジェになっている。柄を挿げ替える講習はやってないだろうなあ。