先代の仕事ぶりは、こちらも現役仕事人だったためほとんど見ていない。
でも一年中保存食はあったし、野菜も立派なものが豊富にあった。
どんな風に暮らしていたんだろう。一緒に作業をしていれば、知識も技能も伝達してもらえただろうに、子育てと仕事にまい進している間に先代を失ってしまった。
おぼろげな記憶や昔の写真に写っている畑を見て、
「ああ、ここに大根を植えていたんだ!」
「大豆はたんぼのあぜにあったような・・」
と推測するばかり。そんな時、頼りになるのはご近所さんだ。前の畑を耕しているとトラックが停まる。
「何植えてるだ?うーん、畝がちょっとなあ・・」とアドバイスが始まる。
コンサートのチラシを持っていくと、おばあさんが
「肥料にはわたしゃ鶏糞を混ぜてるよ。」
「今は畑は休ませて、苗を作っておくといいよねえ。」
と、いろいろなことを教えてくれる。
先代にきけなかったことをあれこれ教えてもらって、古民家を顧みられなかった長い空白を少しずつ埋めていけたらいいな。