我が家の春の庭で一番いばって枝を張っているのは白モクレン。あちこちのお宅のモクレンがどんどん咲いていくのに、毎年うちだけなかなかつぼみが開かない。
いつからか私はこの白モクレンを勝手に「人事の花」と名付けてきた。我が家の白モクレンが満開となるころ、会社や学校などの人事や進路が決定するからだ。
我が家にそれが関係ない年でも、白モクレンのつぼみがふくらんでくると、ああ、今年もまたどこかで誰かが新しい門出を迎えるんだなあ、○年前はうちもそうだったなあ、とあれこれ懐かしんできた。
中学校と小学校の卒業式に参列した。15の春、12の春。どちらも新しい世界へ向けてのきらきらした式だ。嬉しそうな卒業生たち。4月からどんな学校生活を送るのかな、どんな大人になっていくのかな。今からなら何にでもなれる、何でもできる、そんな可能性のかたまり・・・。いい表情を見せてもらった二日間。
家に帰ったら朝よりも白モクレンのつぼみがふくらんでいた。もうすぐ開花。
今年も新しい春が始まる。