バイオリンが帰ってきた。
まるで新しい楽器に買い替えたみたいに弾きやすく、美しい音が出るようになった。
魔法使いは、以前ブログでも紹介させていただいたバイオリン職人の、Kさんだ。
コロナが怖くて弓の張替えも弦の張替えもさぼっていたら、ついにA線がほつれてきてしまった。
以前、自分で張り替えたら魂柱が倒れてしまったので、もう絶対にプロに頼もうと、オミクロン株が猛威をふるう中、申し訳ないけれど、バイオリン工房に連絡を取った。
弓や弦を替えるだけでなく、弾きにくさを感じているところを話すだけで、細かな調整も提案してくれるのがすごい。さすがバイオリン製作者だ。
今回の目玉は「ギアペグ」。
歳をとると握力もなくなるせいか、調弦するときに糸巻を動かすのが難しい。ちょうどいいところで止まってくれないので、調弦するだけで時間がたってしまい、ストレスがたまる。
「こんなペグがありますよ。」と「ギアペグ」というものを教えてもらう。これに代えると調弦がとても楽になるというので、是非に、とお願いした。
いろいろ調べてみたら、ストラディバリにもつけている人がいるという。プロも使うほど便利なのだと期待が高まる。
高音が出しにくいことも伝えたら、指板や駒も調整してくれるという。どんなふうになるのかそちらも楽しみ。
数日後、「引き取りに来ていいですよ。」との連絡に大喜びでお迎えに行く。
まず、「ギアペグ」。・・・・すごい。これまでの調弦がうそのようにストレスフリー。ほとんど力を入れなくても思うところでぴたっと止まって、後戻りしない。
「ペグが4本ともアジャスターみたいでしょ。」と言われたけれど、まさにその通り。音程の悪さが軽減される感じ。練習するのが楽しくなる。
高音が出しにくかったり、雑音が出てしまったりするのもなくなって、本当に素敵な音が出るようになった。あまりの嬉しさに、弾きながらKさんに感激メールを送ってしまったほどだ。
コロナ禍でどこにも出かけられず、イベントもなくなって本当に心が冷え込んでいる二年間、楽器の練習にどんなに慰められたことだろう。巣ごもり生活の今だからこそ、下手だけど、それなりに上達することを信じて、ゆっくり丁寧に練習、練習。