「また、出させてもらっていいかしら?」
と遠慮がちな電話が来る。
「もう、編みあがったんですか?!」
古民家コンサートのたびに、素敵なレース編みを何枚も寄付してくださる〇〇さんだ。
「絶対に、名前出さないでね。内緒よ。」
「本当にご寄付でいいんですか?糸代もお支払いしないのに・・・。」
「いいの、いいの、編むのは好きなんだけど、これって、一家にそんなにいらないじゃない。」
と、いつも糸代すら受け取っていただけない。
一枚を編むのにどれだけの時間と手間をかけてくださっているのか・・・。
本当に申し訳ないことだけれど、遠慮なく受け取って、古民家コンサートの地場産品売り場の横に「お気持ちで」コーナーを作り、コンサートのお客様に買っていただく。
代金は本当に「お気持ち」だ。そして、その「お気持ちで」の売り上げはそっくり古民家コンサートの運営費として寄付してくださっている。
多くの方々においでいただきたいと、入場無料コンサートを続けていく古民家にとって、コピー代、インク代、印刷代としてこういったご寄付やカンパは本当に有難い。
お礼も受け取っていただけない上、決して正体がわからないように、という約束なので、ご本人がコンサートに来てくださっているのに、表立ってお礼も申し上げられない。
反対の立場なら、こういうことができるかなあ、と自分をふりかえってみる。うーん・・・。とてもまねできそうもない。本当にすごい方だと思う。
お礼の代わりに古民家の住人にやれるのは、年4回のコンサートを、より魅力的で、皆さんに楽しんでいただけるものになるよう、努力を重ねていくことしかない。
コンサートを開いていることで、皆さんから数えきれないほどの善意や優しさを受け取っている。ありがとうございます。これからも「また来よう!」と言ってもらえるようなコンサートを工夫していきたいと思います。