水田は涼を運んでくれる里山の天然のクーラーだ。毎晩カエルの大合唱。水田に水がはられていると吹き抜ける風も気持ちがいい。
冬場にレタスなどを育てる関係から、この辺りでは4月に田植えを始める農家も多い。
古民家の前の田んぼは5月中下旬が田植えの時期だ。茶農家も兼ねているから、お茶刈りが一段落してからということもあるのだろう。
立派な葉っぱがたくさんついている古民家の庭の柏の木。
月遅れの6月5日はこの地区の男の子のお節句。昔はどこの家でも柏餅を作って、お節句のお祝いをしたり田植えのおやつにしたりしていた。お節句が5月5日では、まだ柏の葉っぱが小さくて柏餅が作れないのだ。
3月3日の桃の節句も、桃はまだつぼみ。月遅れの4月3日なら桃の花が咲きそろう。いろいろな行事を月遅れにしたのにはそんな理由もあるのかなあ、旧暦だからかなあ、と勝手に推測する。
先日、先代を思い出しながら久しぶりに柏餅を作った。何十という柏餅を作っていた昔はあんこも大鍋にいっぱい煮ていたっけ。
昔の田植えは人力。親戚中が集まって、にぎやかに農作業をするので、餅箱いっぱいの柏餅もすぐにはけてしまった。
つつましやかに小鍋であんを練る。それでも40個ぐらいできた。困った、誰がこんなに食べるんだ?
柏餅を数個だけ作るのはむずかしい。米粉を蒸したりついたりするからある程度の量が必要だ。お菓子屋さんでない限り、今では何十個の柏餅なんて作る必要もないし需要もない。田植え機が普及して、一人でたくさんの田んぼの田植えができてしまうのだ。
そんなこんなで農家で柏餅を作る習慣もなくなってしまったのかもしれない。
そういえばこいのぼりも、武者のぼりも見なくなった。昭和どころか平成だって終わってしまったのだから時代の波か・・・。
お仏壇にお供えした後は、昔、田植えをしてくれていた叔母に届けた。懐かしいと喜んでくれた叔母ももう80代半ばだ。
あとは・・厳重にラップして冷凍庫へ。郷愁にひたりながら少しずつ解凍してふかしていただく。ああ、豪快に100個の柏餅を餅箱いっぱいに作りたい!大勢でわいわいやりながら・・・!!