今年の梅仕事がほぼ完了した。
無事に梅酢も上がってきたので一安心。
梅仕事のピークと古民家コンサートはいつも重なる。
時期をずらせればいいけれど、冷暖房のきかない古民家なので、夏前のコンサートは、どうしても暑くなる前の6月中旬に計画することになる。
6月初旬の市民音楽祭と重ならないようにとの配慮もある。
休日しか梅を収穫できなかった頃は、木に登って青梅をとっていたけれど、これはなかなかスリルがある。
歳もとってきたし、リタイアしてからはもっぱら「梅拾い」となった。
梅の木の下にビニールシートや網を張って待っていると、へたがとれた梅がぽとぽとと落ちてくる。
朝昼晩、かごを手に拾いに行くのが仕事だ。
クッション性のあるマットではないので、打ちどころが悪いと傷だらけの梅になってしまう。2、3割は傷の梅ができる。
ほとんどの梅は梅干し用になるが、傷のついたものは洗って梅シロップにする。
我が家の一年中の飲み物だ。
夏の暑い日の農作業に持っていったり、テニスやダンスなどのサークルのお供にしたり。
冬はお湯でわってあたたかい飲み物にもなる。
梅酒がなかなかはけないので、今年は梅酒作りはやめて梅干しを増やした。
かめや漬物容器だけでは足りず、大きなポリバケツも持ち出して漬け込んだ。
三週間にわたって梅が落下し続けるので、一日中梅と格闘だ。
最後の梅を漬け込んで、本当にほっと一息。梅ジャムも1年分をびんに詰めた。
コンサートの準備と練習で時間がとれず、泣き言をいいたくなる日もあった。
でも何十年も仕事優先で、大事な梅を粗末に扱ってきたので、罪滅ぼしの気持ちで、最後の一粒までありがたく収穫した。
自宅での処理能力を超えた時は、いろいろな方に「梅いらない?」と尋ねては引き取ってもらった。
いろいろなところで梅が楽しみになってくれていたら嬉しい。
でも梅干しをもう漬けなくなったから遠慮します、という方も何人かいた。
一人世帯、二人世帯が増えてくるとたくさんの梅は不要、パック詰めされた小分けの梅干しの方が重宝なのかもしれない。
叔母からも「だれも食べないし、梅酒も飲まないから処分したよ。かめやびんをあげるから取りにおいで。」と言われて有難いやら寂しいやら、複雑な気持ちで受け取りに行った。丁寧に洗ってしまってあった梅仕事道具。私も何年続けられるかわからないけど、頑張って漬けるからね。
おいしくできたら、いや、うまくできなくても、できあがったものを届けに行こう。
誰かが自分のやってきたことを引き継いでくれている、というだけで気持ちは上向きになると思うから。